梅雨前線

しがないおたくのつぶやき

読書メーター〈2019年間まとめ〉

 

2019年の読書メーター
読んだ本の数:43
読んだページ数:9008
ナイス数:352

ナナメの夕暮れナナメの夕暮れ感想
最近、漠然とした「生きづらさ」を感じることが多くある。それを同じように感じる人がいることが、それだけで救いになる。1冊目のエッセイを読んだ時、とても魅力的な人だなと思ったのだが、今回ますます若林さんのことが好きになった。変わってみようとする気持ちと、変わらずにいたい部分と、変わらざるを得なかったものと、気づいたら変わっていたこと、その全ての変化を抱きしめたい。趣味という没頭するものが必要だという話はすごく納得。好きなものは本当に私を救ってくれると思うから。(趣味との上手な付き合い方もめちゃくちゃ大切。)
読了日:11月03日 著者:若林 正恭
彗星図書館彗星図書館感想
好きな作家の貴重なコレクションと頭の中を同時に覗かせてもらえるとは、なんて贅沢な本なんだろう…。私の興味関心の先と皆川さんの好きなものが重なるとまた勝手に運命じみたものを感じて嬉しくなる。これまで触れたことのない作品も多く、皆川さんの作品も含めてこれから少しずつ手に取ってみたい。鳩山郁子さんの作品について触れられていると聞いていたら、それは辺境図書館のほうだった笑 そちらも読まなきゃ。装丁もとても素敵で一生大事にしたい1冊です。
読了日:11月01日 著者:皆川 博子
恋人たちはせーので光る恋人たちはせーので光る感想
タヒさんの本は毎回装幀が凝ってて好きだ〜!本作もかわいい。冷たくて、さみしくて、けれど透き通っていて、ほんの僅かなあかりが世界をてらしているような、そんなタヒさんの言葉が好き。あとがきを読む度に、そのとてつもない優しさを感じて、タヒさんのことをもっと知りたいと思う。ラジオなんかどうだろう…でも知りすぎてしまうと作品を読んだ時の見方が変わってしまうかもしれないな…それは嫌だな…。これからも、タヒさんの本を買い続けたいと思います。
読了日:10月17日 著者:最果 タヒ
第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)感想
中学生の頃に1度読んだ本だが、きっと今の自分にはあの頃とは違う景色が見えているのだろうと思う。あの後、又吉さんが「火花」を執筆し、憧れの中村文則さんとタイプライターズで頻繁に共演するようになり、最近ではEXITの兼近さんがこの本をきっかけに芸人を目指したのだと知った。自分の内からうまれた産物が、自分自身や誰かの未来を大きく変えていく。それはどういう感覚なんだろう。私もそんな力が持てるだろうか。先日若林さんの本を読んだばかりだが、やはり芸人さんって魅力的な方が多いんだな、だからこそ芸人さんなんだろうけど。
読了日:10月12日 著者:又吉 直樹
社会人大学人見知り学部 卒業見込 (ダ・ヴィンチブックス)社会人大学人見知り学部 卒業見込 (ダ・ヴィンチブックス)感想
若林さんのことを私はそんなに詳しく知らないけど、テレビでお見かけするたびに「おもしろい人」だなぁと思っていた。それが確信に変わった1冊。若林さんって良くも悪くも素直な人なんだろうな〜とっても人間臭くて魅力的で、もっと彼の頭のなかを除いてみたい。嫌がられるかな。共感できる部分もありながら、遠い世界にいる芸能人の彼も、同じ人間なんだなぁなんて…日々自意識との戦い…。若林さんの読書歴も垣間見え、彼の他の作品も含めもっともっとたくさんの本と出会いたいと思った。明日図書館行こうっと!
読了日:09月27日 著者:若林正恭
女子の古本屋女子の古本屋感想
古本屋を営む女性たちの生き様を知ることのできる1冊。古本屋として生きることを決めた彼女らの生活は必ずしも裕福とは言えないかもしれないが、皆が豊かな人生を送っているのがよくわかり、少し羨ましくなった。自分のやりたいことをして生きていきたいという気持ちはあるが、一方で安定した十分な収入を捨てられない自分もいて、欲深いのかな〜なんて。もちろんどちらも手に入れられたら、それに越したことはないのだろうけど。
読了日:09月27日 著者:岡崎 武志
さよなら恋人、またきて友だち ~宮内ユキについて~ (THE OMEGAVERSE PROJECT COMICS)さよなら恋人、またきて友だち ~宮内ユキについて~ (THE OMEGAVERSE PROJECT COMICS)
読了日:09月24日 著者:yoha
エスケープジャーニー (3) (ビーボーイコミックスデラックス)エスケープジャーニー (3) (ビーボーイコミックスデラックス)感想
ミカりんやふみちゃん含め大学の友人たち、養子縁組に待ったをかけながらも優しく応援してくれる直人の家族たち、今後も2人にとってどれほど救いになるだろうかと、涙が止まらなかった。同時に、性別の壁も偏見の目も覚悟の上で「ずっと一緒にいたい」と思う気持ちがなんだか眩しくて、自分にはほど遠い世界のように感じた。自分の言葉が、言動が無意識に誰かを傷つけているかもしれないなぁなんて。仁科くんもまた、直人のように思わず筆を走らせてしまうような、そんな誰かとまた出会えるといいな。
読了日:09月24日 著者:おげれつ たなか
少年アリス少年アリス感想
初めて長野まゆみの本を手に取ってからもうすぐ6年。冷たい水が血液となって身体を流れていくような感覚がして、月日がたって少しだけものの感じ方が変わったのかもしれないなぁなどと思いながら再読。アリスも蜜蜂もそして蜜蜂の兄も、みな「人間」らしく、たまらなく愛おしい。私の知識不足もあって、たくさんの植物が映像となって見えてこないのが悔しい。散りばめられたモチーフが「ザ長野まゆみ」といった感じで、これがデビュー作って凄いよなぁ…あらためて彼女の作品と出会えたことに感謝。これからもきっとずっとだいすきです。
読了日:09月23日 著者:長野 まゆみ
寺山修司少女詩集 (角川文庫)寺山修司少女詩集 (角川文庫)感想
初めて読む寺山修司であり、ずっと手に入れたかった本。詩集とはいえもう少し硬い文章なのかと想像していたが、思いのほか軽やかでリズミカルに言葉が跳ねてとても読みやすかった。少女のかわいくてキラキラした世界に隠されたドロドロとした感情が垣間見えて、すごく癖になる。ページが進むにつれて増える下品にならない官能的な描写もよかった。寺山修司という人は、いったいどんな人なんだろう。彼の詩はもちろん寺山修司という人間にもとても興味が沸いた1冊。もっとたくさん彼の本を読んでみたい。
読了日:09月20日 著者:寺山 修司
さよなら恋人、またきて友だち〜ロスト・チャイルド〜 (THE OMEGAVERSE PROJECT COMICS)さよなら恋人、またきて友だち〜ロスト・チャイルド〜 (THE OMEGAVERSE PROJECT COMICS)
読了日:09月18日 著者:yoha
『恋するマライヒ』─パタリロ!Bestセレクション─ (花とゆめCOMICSスペシャル)『恋するマライヒ』─パタリロ!Bestセレクション─ (花とゆめCOMICSスペシャル)
読了日:08月30日 著者:魔夜峰央
百と卍 3 (on BLUEコミックス)百と卍 3 (on BLUEコミックス)感想
読む度に思うことだが、作者さんの日々の研究の成果、ここにあり…といった感じ。相変わらず情報量と作者さんの愛がすごい。人間のつくられる大事な時期を陰間として過ごした百が切なくて、でも百を見つめる卍の愛おしそうな瞳が忘れられない。未来永劫、2人仲良く暮らしてほしい。どのページを開いても百ちゃんがモチモチしててかわいい。百にメロメロな卍さんもまたかわいい。兆さんの恋の行方がとても気になる。千の抱えるものが少しでも癒されるといいなぁと思う。火消し組とも今後もなんやらありそうなので楽しみです。
読了日:08月30日 著者:紗久楽さわ
天国と、とてつもない暇天国と、とてつもない暇感想
私は小説や詩を読んだとき、ぼんやりと情景が見える。しかし最果さんの作品はなにも見えない。いつも透明で、氷のような冷たさとナイフのような鋭さがあるのに、そこには温かい血が流れている。そんな言葉が連なる不思議。なぜかいつも、よくわからないまま泣きそうになってしまう。なにもわからないけど「好き」。推薦文が萩尾望都さんで、こうやってまた好きと好きが繋がり、運命じみたものを感じて嬉しくなった。最果さんの言葉を抱きしめて、私は息苦しいけど憎むこともできないこの世界を、明日も生きていく。
読了日:08月19日 著者:最果 タヒ
皆川博子の辺境薔薇館: Fragments of Hiroko Minagawa皆川博子の辺境薔薇館: Fragments of Hiroko Minagawa感想
皆川作品はこれまでたった2冊しか読んだことがないのだが、美しい装幀に惹かれ購入したもの。最初の短編で心奪われ、皆川さんの生きてこられた時間や彼女を虜にした文学や美術作品に興味を持ち、皆川作品を愛する作家たちの豪華なラインナップに驚き、なんて贅沢な本なのかと今さら気がついた。皆川さんはもちろん寄稿された方々全員の美学がそこにあり、魅了されてしまう。皆川博子の描く世界に一度のめり込んでしまうと、もうこれまでの自分ではいられなくなるようなそんな怖さがあり、しかし私もはやくそちらへ行きたいなぁと、思ったりもする。
読了日:08月19日 著者:皆川博子,綾辻行人,有栖川有栖,石井千湖,井上雅彦,伊豫田晃一,宇野亞喜良,岡田嘉夫,恩田陸,佳嶋,北原尚彦,北村薫,日下三蔵,久世光彦,倉田淳,黒田夏子,小森収,近藤史恵,今野裕一,齋藤愼爾,坂野公一,佐藤亜紀,篠田節子,篠田真由美,新保博久,須賀しのぶ,千街晶之,竹本健治,建石修志,垂野創一郎,千早茜,中川多理,西崎憲,服部まゆみ,鳩山郁子,東雅夫,深緑野分,松田青子,宮木あや子,門賀美央子,柳川貴代,山科理絵,山田正紀,山本ゆり繪,島村理麻,光森優子,光森優子,小口稔,鈴木一人,小塚麻衣子,古市怜子
晴れのち四季部 2 (ジーンピクシブシリーズ)晴れのち四季部 2 (ジーンピクシブシリーズ)感想
前作に引き続きフルカラーでたいへん贅沢な1冊!天然2人の絶妙に噛み合わないけどちゃんと大事なことは伝わる関係が愛おしくてかわいくてだいすきです。互いに相手への思いやりと優しさに溢れていて、読む度にたくさんの幸せをおすそわけしてくれる。恋文のくだりは特にお気に入り。日乃が「好き」に自覚的になったことで、ちょっとだけ(本当にちょっとだけ笑)2人の恋が進展したようでなにより。続きは…と思ったタイミングで冬編の連載がはじまったようで、この先の2人を見守ることができるのがたまらなく嬉しい。今後も楽しみ〜!
読了日:08月19日 著者:ひのた
放課後の王子様 6 (ジャンプコミックス)放課後の王子様 6 (ジャンプコミックス)
読了日:08月19日 著者:佐倉 ケンイチ,許斐 剛
抱かれたい男1位に脅されています。(6) (ビーボーイコミックスデラックス)抱かれたい男1位に脅されています。(6) (ビーボーイコミックスデラックス)感想
チュン太の幼少期が描かれるスペイン編。高人さんの男らしさとチュン太への素直な気持ちが溢れていてよかった…アントニオいい奴だなぁ…。卯坂プロデューサーとアリス、プロデューサーのが攻めっぽかった…そうか…そうかぁ………。予告であんな「芸能界の闇」なんて書かれちゃ〜もう地雷でしかないので次巻はどうするかわかんないな。なんとなくだけど、作者さんもここまで続くと思ってなかっただろうな、なんて…。
読了日:08月19日 著者:桜日 梯子
百と卍 2 (on BLUEコミックス)百と卍 2 (on BLUEコミックス)感想
勉強熱心な作者さんによる、相変わらずの情報量の多さに圧倒される。前作の百の過去編に続き、今回は卍さんの過去編。いくら男色の文化があったとはいえ、性的嗜好に悩む人はいつの時代、どの場所にもいるわけで…ごく当たり前のことに気づかされハッとした。正直卍さんめちゃくちゃめちゃくちゃかわいいしド受けの顔してるけど〜!卍さんが求めるものはそうじゃないんだもんね。百も卍も互いにを足りないものを埋め合うようにそばにいて、それに2人が笑って幸せそうにしているのでこちらも幸せになる。2人の馴れ初め編も楽しみにしています。
読了日:08月18日 著者:紗久楽さわ
箱という劇場箱という劇場感想
箱という閉ざされた空間、箱という概念にとらわれ、魅了され続ける作者の溢れんばかりの愛がとても魅力的で美しい。たくさんの図版と共に紹介される作品群、作者たちのラインナップは気になるものばかりで、参考になった。デュシャンの箱に繋がる作品の多さと、絵画よりも文章が先行してしまったというキリコの話がとても興味深かった。
読了日:08月12日 著者:横山 正
作家と楽しむ古典 好色一代男 曾根崎心中 菅原伝授手習鑑 仮名手本忠臣蔵 春色梅児誉美作家と楽しむ古典 好色一代男 曾根崎心中 菅原伝授手習鑑 仮名手本忠臣蔵 春色梅児誉美感想
高校を卒業してから古典に触れる機会がめっきり減ってしまったが、こうやって好きな作家を通じてまたそれらに触れることができるのは嬉しいなぁと思う。今作は浄瑠璃の演目が中心で、現在のエンタメにも通じる部分も垣間見えてとても興味深かった。難解なものからわかりやすく遠ざかってしまうところがあるので、現代作家さんのそれぞれの色が見え隠れする現代語訳は気になる。こうやって読んでみたいと読者に思わせる力のある本をつくった編集者たちの勝利ってかんじ。最後の最後、島本理生さんの「米八=二階堂ふみ」めっちゃわかる〜〜〜!!!!
読了日:08月11日 著者:島田 雅彦,いとう せいこう,三浦 しをん,松井 今朝子,島本 理生
森茉莉かぶれ森茉莉かぶれ感想
森茉莉を愛する作者の森茉莉へあてた手紙たち。好きなもの、好きな人の話をする人の、その愛に溢れた姿が大好きで、会うことのできない森茉莉という人を追いかけ続ける作者がとても健気で愛おしくなった。ひたすら背中を追いかけた結果、巴里にまで飛んでしまう作者のエネルギーと行動力に乾杯!私が尊敬してやまない作家たち、私の好きなアイドル…私が手紙を書いてポストに投函すると相手に届けてくれる。そんな時代に生きていることが特別幸せなことのように感じる。久しぶりに手紙でも書いてみようか。
読了日:08月10日 著者:早川 茉莉
銀河の通信所銀河の通信所感想
本作を経て、満を持しての「カムパネルラ版銀河鉄道の夜」だったのかと思うと、こちらを先に読むべきだったのかもしれない。まゆみさんが河出書房新社から多く作品を出すのも、何かの縁というやつだろうか。宮沢賢治の作品をあらかた読了済であればもう少し頭に入ってきたかもしれないが、如何せん銀河鉄道の夜以外未読の私は話の大半を持て余してしまった感じが否めない。まゆみさんの賢治への愛と受けた影響の強さを実感する1冊だった。賢治と違って私はどうしても理数系のことに興味がもてないのだが、まゆみさんはどの程度興味があるんだろう?
読了日:07月24日 著者:長野 まゆみ
夜行夜行感想
読了後も胸に残るざわざわとした感覚。鞍馬の夜に消えた長谷川さんと、残された5人。岸田道夫の銅版画が繋ぐ朝と夜の世界。時間ではなく世界と世界の境界を行き来するその流れが巧妙で、恐ろしくなる。京都以外の場所に「この世の者ではないもの」の存在を感じる話が続き、それが意外でもあったが、ぐるりとまわって京都にたどり着くのはこれぞ森見登美彦といった感じ。個人的にはコメディ色強いもののほうが好きだけど…怖いから…。世界はつねに夜であり、ただ一度きりの朝がくる。私がいる今この場所ははたしてどちらなのだろう。
読了日:07月22日 著者:森見 登美彦
僕のジョバンニ (2) (フラワーコミックスアルファ)僕のジョバンニ (2) (フラワーコミックスアルファ)
読了日:07月22日 著者:穂積
僕のジョバンニ (1) (フラワーコミックスアルファ)僕のジョバンニ (1) (フラワーコミックスアルファ)
読了日:07月22日 著者:穂積
少年の残響(2) (シリウスKC)少年の残響(2) (シリウスKC)
読了日:07月22日 著者:座紀 光倫
少年の残響(1) (シリウスKC)少年の残響(1) (シリウスKC)
読了日:07月22日 著者:座紀 光倫
いい部屋あります。 (角川文庫)いい部屋あります。 (角川文庫)感想
「白いひつじ」のタイトルがとても好きだったので改題は少し寂しくもあったが、夢から醒めた後のふわふわとした読了感は文庫でも健在。多少回りくどい表現はありつつも登場人物の生い立ちや人間関係がわかりやすく、長野作品の中でも読みやすいかも。潮の香り、ツバメの鳴き声と共に感じる春の微睡みが心地よく、大好きな1冊。どこにいても鳥貝くんを囲うように、あたたかい気持ちが溢れた空間があって、それでいて時折泣きそうになる。その人々の輪の中に、きっと夏目もいるんだろう。百合子も鳥貝くんも、互いにもう少し素直になれるといいね。
読了日:07月21日 著者:長野 まゆみ
ギヴン(5) (ディアプラス・コミックス)ギヴン(5) (ディアプラス・コミックス)感想
春樹さん〜〜ッ!!!!両思いになれてよかったよう…頼むぞ秋彦…ここからの2人がどう歩んでいくのか、とても楽しみにしています。一方で雨月の涙もとても苦しくて、彼は今後誰かと恋することがあるんだろうか。恋愛が雨月の音楽をダメにするのか、それとも秋彦だったからダメだったのか、後者なら辛いなぁ。ライブシーンはやっぱりめちゃくちゃかっこよくて、これを映画館で観れるのかと思うとわくわくする。舞台も、かっこいいだろうなぁ。
読了日:07月19日 著者:キヅ ナツキ
カムパネルラ版 銀河鉄道の夜カムパネルラ版 銀河鉄道の夜感想
カムパネルラの視点から描かれる「銀河鉄道の夜」と賢治先生の恋。たくさんの詩篇を根拠に書かれているものの、史実と妄想の境目がまったく分からず、そこにまゆみさんらしさが現れているようでとっても好き。デビュー30年の節目としてふさわしい、まゆみさん自身書くべきして書いた1冊になっているのではないかと思う。少し前にNHK宮沢賢治特集を見て、賢治を虜にした4人の女性とともにある男の人の影を探してしまう。彼の中に渦巻いていた思いを隠した綺麗な言葉だけが教科書に載っていることが、なんだか不気味に思えてしまうくらいに。
読了日:07月17日 著者:長野まゆみ
フランダースの帽子フランダースの帽子感想
官能的な描写に溢れた少年たちの物語を再読した後に読むと、最近の彼女の作品だなぁと改めて実感する。(とはいえ出版は3年前ですが。)これほどたくさんの女性が登場するようになるなんて。少し寂しくもあり、しかしあやふやな人物像、曖昧な人間関係が描かれ、最後の最後にほんの少しの文章でその衝撃に打ちのめされる。そんな物語の構成は健在で、それがとても嬉しかった。彼女の美少年世界に惹かれて本を買うようになったけれど、これからの作品もとても楽しみ。短編集で読みやすく、装丁もかわいらしい。
読了日:06月18日 著者:長野 まゆみ
夏至南風(カーチィベイ) (河出文庫―文芸コレクション)夏至南風(カーチィベイ) (河出文庫―文芸コレクション)感想
文庫版にて再読。倫理観の欠如した世界、身勝手な大人と、腐敗していく少年たちの死体。容赦のないグロテスクな行為もまゆみさんの文章だからこそ受け入れられる。生温い夏至南風に私の脳さえ溶かされていくようで、それがたまらなく気持ちがいい。見るに耐えない姿になった碧夏を求めて、彼を抱く鈷藍が特に印象的で、ゾクゾクする。消して後味の良い結末ではないからこそ、この作品の好き嫌いをはっきりさせてしまうのだろうが、言うまでもなく私は好きだ。蒸し暑い夏に脳を溶かされながら、もう一度読みたい作品。
読了日:06月17日 著者:長野 まゆみ
千年王子千年王子感想
久しぶりに再読。まさしく水のような、はっきりと形を持たず、結末は曖昧なまま。しかしそれこそが美しいとつい最近気がつきました。無機質な言葉で誤魔化されてはいるものの、こんなに官能表現が多かったかなぁと過去の記憶の頼りなさに落ち込みつつ、全く安っぽい性描写にならないまゆみさんの腕力にまたときめきがとまらない。出産シーンが特別好きで、高校生の頃初めて読んだ時の衝撃は忘れられません。未だ文庫化されていない1冊ですが、単行本の装丁が大好きなので、無闇に文庫化しなくてもいいのかも…なんてね。
読了日:06月17日 著者:長野 まゆみ
太陽と乙女太陽と乙女感想
これを読めば森見さんのことが知ったような気になれる1冊…かもしれない。共感できる部分もありつつ、そんなに卑屈にならなくても…と少し心配したりしつつ、最初から最後までたいへん興味深い内容でした。森見さんの「文章を書くこと」への向き合い方をみると、私にとっての「表現する方法」はきっと書くことではないのだろうなぁと気づくことができました。エッセイの内容が自分自身の現在の状況と重なることが何度もあり、今読むべくして読んだ本だったなぁと嬉しくなりました。
読了日:05月25日 著者:森見 登美彦
『罪と罰』を読まない『罪と罰』を読まない感想
本を読まずに読書会を開くというトンデモ企画。私も「罪と罰」はじめ、名作と呼ばれる数々の本を未だ手に取ることことがないままだ。よくわからない、で終わってしまうそれらを「はっきりしないからおもしろい」と言う作家先生方の言葉に背中を押されたような気持ちに。執筆する側の方々だからこその読み取り方もあり、なぜ私が世界的名作と呼ばれる本たちから遠ざかってしまうのか、少しだけわかったような気がする。まぁ今後読むか読まないかは…神のみぞ知る…笑
読了日:05月20日 著者:岸本 佐知子,三浦 しをん,吉田 篤弘,吉田 浩美
ファミリーデイズファミリーデイズ感想
結婚し、そして母となったまいこさんのエッセイ。私もそうなりたいと思う日が来るだろうか。マイペースな家族に振り回されながらもそれはそれで楽しめる、そんなまいこさんと旦那さんの関係性がとても素敵で、憧れる。こんな2人の間で成長していく娘さんは、またとっても素敵な人になるのだろうなぁ。中学教師だったころの回想も含め、人の成長の喜びを知るまいこさんが優しくて神様のように見える。こういうふうになれたら幸せだろうなと感じる一方、私はなにもかも自信がなくて気が滅入ってしまう。またいつか、来たるべき日に読みたい本。
読了日:05月04日 著者:瀬尾 まいこ
森見登美彦リクエスト! 美女と竹林のアンソロジー森見登美彦リクエスト! 美女と竹林のアンソロジー感想
森見さんの依頼により実現した竹林小説アンソロジー。これまで触れてこなかった作家ばかりだったが、どれもおもしろかった。しかしながらやはり森見さんと竹林の親和性の高さが最高。竹林が美しくも恐ろしいと感じるのは日本人の感性なんだろうか。ミステリーとの相性もいいんだなと作家先生のラインナップをみて感じました。森見さんがそういうの好きなだけかもしれないけど。笑 読んでいる途中で一度寝落ちてしまいましたが、それは私が薄暗い竹林に迷い込んでしまったからじゃないのかと、少し怖くなってしまった。
読了日:05月03日 著者:森見登美彦,有栖川有栖,京極夏彦,恩田陸,佐藤 哲也,北野勇作,飴村行,矢部嵩,伊坂幸太郎,阿川せんり
星の王子さま (岩波少年文庫 (001))星の王子さま (岩波少年文庫 (001))感想
小学生の頃に一度読んだきりで、世間で言う「大人」になった今改めて読み返すとなんだか泣きたくなった。目に見えないなにかを探して、見つけたそれをずっとずっと大切に、宝箱に入れてしまっておけるような、そんな人でありたい。こどものままではいられない世界で、こどものままでいられるように。うまく言葉にできないけれど、喪失感と、それと同等に得たものがあり、いつかこの地球から私が消えてしまうその日まで、そばに置いておきたい本だと思った。
読了日:04月22日 著者:サン=テグジュペリ
少年の名はジルベール少年の名はジルベール感想
『少女漫画界に革命を』今よりもっと自由の幅が狭かった頃、自分を追い求めた作者の作り上げた「少年」の世界が美しくないわけないのだと、本作を読み改めて感じた。奇跡のようなこの作品を手に取ることのできる時代に私も生まれることができたこと、それが何より幸せだ。所謂24年組と言われる美少年的世界を作り上げた作家たち、彼女らが影響を受けたヨーロッパをはじめとした歴史の数々、そしてさらに彼女らの作品との出会いをきっかけに自ら筆をとる現代の作家たち。美少年的世界を取り巻く一連の大きな流れの一部に私もなりたい。
読了日:04月16日 著者:竹宮 惠子
桜前線開架宣言桜前線開架宣言感想
予想以上に分量が多く、半分で途中棄権。歌人紹介のコラムと歌が見開き2ページずつ。1冊にまとめるためなのか、膨大な文章をぎゅっと凝縮したようなページの構成で、読んでも読んでも進まない…。作者が短歌に触れるようになったきっかけを知ることができたり、未知の領域であった短歌の世界で活躍する現代歌人たちに触れることができたり、内容としてはとても興味深かったしおもしろかったです。如何せん情報量が多く、頭がパンクしそうでしたのでまたいつか、再チャレンジしたいと思います。
読了日:04月11日 著者:山田航
僕の好きな人が、よく眠れますように (角川文庫)僕の好きな人が、よく眠れますように (角川文庫)感想
久しぶりに再読。関係性を言葉にしてしまうと「不倫」なわけだけど、ただ純粋に恋に落ちて好きになってしまった2人の話。ひたすら「好き」の言葉をぶつけ合う2人の姿が愛おしくて、また一方で切なくて、春が来なければいいのにと願うばかりです。本当の握手を交わす日が来てしまうのかなぁ。それはそれとして、みんな大好き木戸さんに恋に落ちたい私はまだまだ子供なのかなぁと思ったり笑 絶対最強〜もまた読み返したくなりました。
読了日:03月25日 著者:中村 航
ベスト・エッセイ2018ベスト・エッセイ2018感想
いろんな生き方をする方々の、その人生を少しでもわけて貰えたようで嬉しかったです。人の死に関するエッセイも多く、私も桜の時期に死にたいと思った。同時にいつか訪れる家族との別れを考えると怖くなる。加藤さんと同じで、私も父や母が弱っている姿はあまり、見たくないな。恩田陸さんのものが特に好きで、私も「本を読む」という行為に惹かれているところはあるのだろうし、そういう自分として生きていることがこの上ない幸せだなぁなんて、考えたり。しをんさんのものは読み始めた途端に彼女との距離を感じなくなるのがいい。オタクなのでね!
読了日:02月10日 著者:日本文藝家協会編

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